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カバレフスキー ピアノ協奏曲第1番 解説

概要
 作曲者がモスクワ音楽院に在学中に作曲され、卒業後作曲者のピアノ、ボリジョイ劇場管弦楽団により初演される。
初演の翌年に楽譜が出版されると、海外でも演奏されるようになれ、カバレフスキーの知名度が一気に高まった。いわゆる出世作である。
カバレフスキーの個性は既に作品に表れているものの、チャイコフスキー、ラフマニノフ、プロコフィエフといったロシアの作曲家の影響を強く受けている。
現在この曲の楽譜は出版社が1つしかなく、その出版社も演奏家向けの楽譜の貸し出しを行っているだけで、楽譜の一般販売はされてない模様。
そのせいなのか、単に作曲者の知名度のせいなのかは不明だが、名曲なのに録音が非常に少ないのが残念。
なお第2楽章の変奏ごとの速度指示は、変奏ごとにトラック分けされてるキャサリン・ストットのアルバムを参照した。

詳細解説
第1楽章 Moderato quasi andantino
 イ短調。ソナタ形式。10分強の曲。木管楽器から入り、弦楽器のピチカートが続くとピアノが哀愁を帯びたイ短調の第1主題を奏でる。
その後の第2主題は同じくイ短調で始まるが、こちらは転調が多い。ホ短調に転調してピアノが重音をスタッカートで強く奏でると曲は一旦落ち着く。
そして曲の調がイ短調を軸にしながらも不安定な展開が続いた後、今度はヘ短調で第2主題が再び奏でる。
嬰ヘ短調まで出てきて、複雑な展開を見せた後、イ短調に戻り一旦落ち着く。
ピアノはこの部分では高い音をあまり弾かず、暗い曲調を演出する。
そしてだんだんクレッシェンドし、だんだん音域も高くなり、一気に盛り上がり大音量(多分楽譜にfffとか書いてある)で第1主題が変形して弦楽器で奏でられる。
この時ピアノはラフマニノフのピアノ協奏曲2番の出だしのように、オブリガードに徹している。
この盛り上がりもそう長くは続かず、また落ち着いた暗い曲調に戻る。
今度は嬰ニ短調(変ホ短調かもしれない、楽譜が見れないのでわからない)、で弦楽器が静かに高音を奏で、神秘的な響きを作り出す。
そして第1主題が最初に登場した時とほぼ同じ形で戻ってくると、コーダに入る。
コーダはだんだんテンポを上げ、最後はピアノとオケが同時に締める。

第2楽章
 ヘ長調。変奏曲。主題と5つの変奏から成る。第2楽章が変奏曲のピアノ協奏曲は、前例としてプロコフィエフの3番がある。 しかし、変奏曲の組み方はプロコフィエフとはまったく異なるものとなっている。演奏時間は10分ほど。
主題 Moderato
 第1楽章と同じく木管から入る。オーケストラのみで演奏される。
第1変奏 L'istesso Tempo
 ここでピアノが入る。ピアノが主題を変形させたメロディーを奏で、ニ短調で終わるとオーケストラが入る。
その後主題をピアノとオケの合奏で奏で、第1変奏は終わる。
第2変奏 Allegro assai - Andasnte
 アレグロとあるように、動きが加わる。ヘ長調で始まるが、転調が非常に多い。
最後はテンポを落とし、第3変奏につなげる。
第3変奏 Andante - Poco piu mosso
 楽譜が無いので定かではないが、イ長調から始まっていると思われる。
緩徐楽章風の曲調で始まるが、すぐに速度を上げる。
第4変奏 Vivace - Piu mosso - Tempo I
 おそらくニ短調。第2変奏と同じく、動きが加わった変奏。
ピアノの小さなカデンツァから始まり(グリーグのピアノ協奏曲第1楽章のカデンツァの入り方に似ている)、踊るようにピアノが動き回った後、同じ小さなカデンツァが繰り返される。
その後、第5変奏への転調を準備しながらそのまま第5変奏へ。
第5変奏 Funebre (Tempo di marcia moderato) - Meastoso (ma in tempo)
 変ロ短調の葬送行進曲。ここでは主題が原型をとどめていなく、この変奏独自の主題が使われてると考えるといいと思う。
オーケストラが主題を暗く奏でると、それにピアノが重い足取りで続く。そしてだんだんクレッシェンドしていき、この楽章全体のクライマックスへ向かう。
おそらくこのクライマックスにMaestoso (ma in tempo)と書いてあるのだろう。最も強く奏でるところは大太鼓、シンバル、銅鑼を総動員している。
クライマックスを終えるとどんどん音量を落としていき、最後はほとんど聴こえないほど小さいピアノが第5変奏を閉じる。
コーダ Tempo Di Tema
 主題をほぼそのまま演奏し、曲を終える。ピアノは入らない。

第3楽章 Vivace marcato
 イ短調。ロンド・ソナタ形式。最後はお祭り騒ぎの楽章になる。と言ってもかなり凝った楽章だが。演奏時間は10分ほど。
まず小さな音で木管が序奏を奏でると、ピアノがグリッサンドで入ってきて、第1主題を奏でる。
第1主題が転調を繰り返したあと、唐突にニ短調になりテンポを上げる。このニ短調も長く続かない。
そして嬰ヘ短調で第2主題(だと思う)が現れるとそれがしばらく展開する。その後ロ短調になり序奏が戻ると、
今度はヘ短調→嬰ハ短調となり、その後ピアノによるイ短調の短いカデンツァが現れる。
このカデンツァは技巧を示すものではなく、静かでさりげないカデンツァ。カデンツァの主題は第1楽章の第1主題。
カデンツァが終わるとホ短調で第3楽章の第2主題が戻ってくる。ここは音量が小さい。
そしてピアノがだんだんテンポと音量を上げながら曲を展開していき、ニ短調で第1主題へ。
戻ってきた第1主題はどんどん転調してき、最終的に嬰ハ短調になった後、イ短調に戻り第1主題がまた演奏される。
テンポも第1主題提示時に戻っている。また嬰ハ短調が出てきて、またイ短調に戻る不安定な展開を見せる。
そして第2主題がイ短調で少し顔を出した後、第1主題に基づいたコーダに入る。
コーダはイ短調で、かなり盛り上がっている。最後は全ての楽器を総動員して曲全体を締める。

2019/08/21